墓はいらない?副住職様にいろいろ聞いてみた

2023.09.29

コラム



「お墓はいらないかもしれない…」 近年、そう考える方が増えています。
ライフスタイルや価値観が多様化し、お墓のあり方も絶対ではなくなりました。
しかし、「本当にそれでいいの?」「供養はどうすれば?」といった不安はつきものです。

この記事では、「お墓はいらない」と考える理由、そして新しい供養の形「海洋散骨」の魅力についてご紹介しています。さらに、副住職様に「お墓なしの供養はあり?」「供養の本質とは?」といった気になる内容についてインタビューしました。この記事を読むことで不安を和らげ、最適な供養を見つけるための一歩となれば幸いです。


「お墓はいらない」と考える、その具体的な理由とは?



なぜ今、「お墓はいらない」と考える人が増えているのでしょうか。
その背景には、現代社会ならではの様々な事情や価値観の変化があります。


1. 経済的な負担が大きい「費用」の問題


伝統的なお墓を建立するには、墓石代、永代使用料、工事費など、数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
さらに、年間管理費も継続的に発生します。経済状況が厳しさを増す現代において、この初期費用や維持費用が大きな負担となり、「お墓は贅沢品だ」「そこまで費用をかけられない」と感じる人が増えています。

ある調査によれば、お墓の購入費用の全国平均は約150万円~300万円とも言われています。
この金額を、自分たちのため、あるいは将来子どもたちに残すために使うべきか悩むのは当然のことかもしれません。



2. 手間と時間がかかる「管理・維持」の問題


お墓を維持するためには、定期的にお墓参りに行き、掃除をする必要があります。
しかし、お墓が遠方にあったり、高齢化や体調の問題で頻繁にお墓参りに行くことが難しくなったりするケースも増えています。
「お墓を建てたはいいものの、草むしりや清掃が行き届かず、荒れてしまっているのを見るのは忍びない」「子どもたちにそんな手間をかけさせたくない」という声もよく聞かれます。
共働き世帯が増え、時間に追われる現代人にとって、お墓の管理は精神的にも時間的にも大きな負担となり得るのです。


3. 深刻化する「継承者」の問題


少子化や核家族化、生涯未婚率の上昇などにより、お墓を継ぐ人がいない「継承者不在」の問題が深刻化しています。
たとえ子どもがいても、「子どもは娘だけで嫁いでしまった」「子どもは遠方に住んでいて、お墓の面倒を見てもらうのは難しい」といったケースも少なくありません。
「自分たちの代でお墓を終わらせたい(墓じまいしたい)」「子どもたちに将来的な負担を残したくない」という切実な思いから、「そもそもお墓を持たない」という選択をする人が増えているのです。


4. 変化する「価値観」と供養の多様化


かつては「家」や「血縁」を重視する考え方が主流でしたが、現代では個人の価値観が多様化しています。
「お墓という形にこだわる必要はない」「もっと自然な形で弔われたい」「形式よりも故人を思う気持ちが大切」と考える人が増えてきました。
また、「死後は自然に還りたい」という自然志向の高まりも、お墓を持たない選択を後押ししています。
このような価値観の変化に伴い、永代供養墓、樹木葬、そして海洋散骨など、新しい供養の形が受け入れられるようになってきました。
これらの理由が複雑に絡み合い、「お墓はいらない」という選択が、決して特別なものではなく、現実的な選択肢の一つとして認識され始めているのです。




お墓を持たないという選択:新しい供養の形としての「海洋散骨」



「お墓はいらない」と考えたとき、どのような供養の方法があるのでしょうか。
手元供養(遺骨を自宅で保管・供養する)、樹木葬(墓石の代わりに樹木を墓標とする)、永代供養(寺院や霊園が永代にわたり供養・管理を行う)など、様々な選択肢があります。

その中でも、近年特に注目を集めているのが「海洋散骨」です。
海洋散骨とは、故人のご遺骨を粉末状(粉骨)にし、法律やマナーを遵守した上で、船などから海へ還す葬送方法です。
生命の源である海に還る、あるいは広大な海のように自由に、というイメージから、故人や遺族の「自然に還りたい」「開放的な場所で眠りたい」という願いを叶える方法として選ばれています。
「お墓を持たない」という選択をした人々にとって、海洋散骨は多くのメリットをもたらす可能性を秘めています。

具体的な海洋散骨のメリットについて見ていきましょう。


なぜ「海洋散骨」が選ばれるのか?「お墓はいらない」と考える人にとってのメリット



海洋散骨が「お墓はいらない」と考える人々に選ばれるのには、明確な理由があります。
それは、お墓を持つことのデメリットを解消し、新たな価値を提供するからです。

1. 圧倒的な「費用軽減」の可能性


前述の通り、お墓を建てるには高額な費用が必要です。
一方、海洋散骨は、プランにもよりますが、一般的に墓石建立や永代使用料が不要なため、費用を大幅に抑えることができます。
個別で船をチャーターするプランから、複数の家族と合同で行うプランまであり、予算に応じて選択可能です。
「お墓にかけるはずだった費用を、子どもたちの教育資金や自分たちの老後の資金に充てたい」と考える人にとって、この費用面のメリットは非常に大きいと言えるでしょう。


2. 「管理・維持」からの解放


海洋散骨を選べば、お墓の掃除や草むしりといった物理的な管理は一切不要になります。
「お墓をきれいに保たなければ」というプレッシャーや、遠方のお墓になかなか行けない罪悪感からも解放されます。
残された家族は、お墓の維持管理に時間や労力を割くことなく、それぞれの生活の中で故人を偲ぶことができます。


3. 「継承者」への負担をかけない


海洋散骨は、一代限りの葬送方法であるため、お墓のように継承者を必要としません。
「子どもたちに迷惑をかけたくない」「お墓のことで将来悩ませたくない」と考える人にとって、これは最大のメリットの一つかもしれません。
お墓の継承問題という現代的な悩みから解放され、安心して旅立つことができる、あるいは残された家族もその心配から解放されるのです。


4. 「自然志向・自由な供養」の実現


「最後は母なる海へ還りたい」「形式にとらわれず、もっと自由に故人を偲びたい」という想いを抱く人にとって、海洋散骨は理想的な形と言えるでしょう。
広大な海は、特定の場所に縛られることなく、いつでもどこでも故人を偲ぶことができる心の拠り所となり得ます。
また、宗教や宗派にとらわれず、無宗教の方でも行いやすいという点も、現代の多様な価値観にマッチしています。
これらのメリットから、海洋散骨は「お墓はいらない」と考える人々にとって、非常に合理的で魅力的な選択肢となっているのです。



【副住職様に聞く】「お墓はいらない」という選択とこれからのお葬式について



さて、「お墓はいらない」という選択や海洋散骨について、そのメリットは理解できたとしても、やはり心のどこかで「本当にそれでいいのだろうか?」「仏教的に見て、供養としてどうなのだろう?」という疑問や不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこで私たちは、円受寺 副住職である松本様に、新しい葬送方法やお葬式のあり方について、お話を伺いました。


—— 今日はよろしくおねがいします。

副住職様:
はい、よろしくお願いします。



—— 松本様は真宗大谷派(東本願寺)寺院の副住職をされていますが、『海洋散骨』はご存知ですか?

副住職様:
もちろんです。最近では家墓があっても納骨はしないという人もおられます。
仏壇もお墓も、高齢の相続者さんが継承できずに始末するケースは増えてきているように思いますね。



—— 『墓じまい』という言葉も最近聞くようになりました。

副住職様:
増えていますね。ご高齢になってお墓の管理が難しい方は少なくありません。





散骨って罰当たりなのでは、と感じる日本人らしい心理



—— 散骨を検討する際、バチが当たったり悪いようになるのではと不安になる方もいます。

副住職様:
言ってしまえば、仏様は基本的には衆生(人間)を救うお立場です。仏罰があたるという心配はありません。



—— 最近では海洋散骨だけでなく供養もいろいろありますが、どう思われますか?

副住職様:
日本は『家』を中心に宗教観を養い、継承してきた歴史があります。
最近になって『宗教離れ』や『墓じまい』が話題になっていますが、これは時代の変遷によって『家族』の価値観が変化したことも大きいだろうと思います。
現代の最小単位は『家』ではなく『個』なんだとか。これからの時代、儀式・宗教のあり方はますます変わっていくと思いますよ。



—— 変わっていくと、正直お寺は大変なのでは?

副住職様:
それは大変ですよ。
ですが、仏教界も変容が求められる時期が来ているんでしょう。
生き方の多様性も認められる社会で、たとえばLGBTのカップルなら子供がいなくとも互いを思う気持ちで弔おうとされるでしょうし、それは事実婚の夫婦にしても同様です。
戸籍だけが「家族」を象徴するものではなくなっていく、そういう時代に応じた供養を考えることは必然だろうと、私は思いますね。



—— 宗教性よりも弔いに対する想いを尊重した供養になっていく、ということでしょうか?

副住職様:
そうとも言えますね。
今後の宗教は社会的な価値観や慣例に縛られず、弔う側の精神性やピュアな憶念が軸になってくるのでは。
また、海や山という自然はおおよそ無くならないでしょうから、そういう意味でも自然葬というのはある意味、回帰というか原始的な帰着点ではないでしょうかね。



現代のお墓について〜散骨か、収骨か〜



—— お墓やお仏壇での供養は時代遅れなんでしょうか?

副住職様:
時代遅れ、とはもちろん思いませんし『お墓回帰』のようなリバウンドが今後無いとも言えません。
安易なムーブメントで墓仕舞いが加速することには危機感もあります。
しかしながら少子高齢化でお墓の継承が難しいのも事実でしょう。
グリーフケアの観点から見た場合、お墓よりも身近な手元供養やモーニングジュエリーを心のケアに実用的に用いているケースもあります。

どちらにせよ、何らかの拠り所が必要な方はおられるわけですから、
散骨などを考える際には、そういった部分もしっかり想像されるのをお勧めしますね。



—— お坊さんとして、納骨か散骨かと問われたらなんと答えられますか?

副住職様:
僧侶という立場からは「基本的には集団収骨を勧めますが散骨もありだと思う」と言うのが正直なところです。
しかしですね、そもそも骨壺に入れて墓に納める方法は歴史から見て新しいんですよ。
土葬も含めて、自然に帰るほうが“普遍”ですからね。私は、散骨が異端な方法とはまったく思いませんよ。



—— なるほど、普遍的な方法だと。

副住職様:
それに供養というのは時代とセットで考えるべきで、戦国時代でも戦争中でも、時代によってはお墓がない時代もあったでしょう。
亡くなった方の尊厳を保つ葬礼が大切なのであって、その形式に弔いの是非があるのではないんです。
セレモニーの流れのひとつとして現代は納骨がポピュラーなだけで、これは時代と共に変わってもおかしくないんですよ。



—— 最後に、これからのお葬式のあり方についてお考えがあればお聞かせください。

副住職様:
今までの方法を踏襲してはいけないのではなくて、
供養の尊厳を大切にして、弔う方にとっても無理のない方法を模索していただけたらと思います。

供養というのは故人と共有する想いの世界。
お金をかけたから良いのでもないが、簡素だから清貧で良いのでもありません。
ある意味、家長制の時代に当然とされた家の宗教儀式は、それを縁にして親戚縁者が集う尊さもありますよね。
かと思えば、現代病として家族という病を抱えている人からすれば、散骨をすることで区切りがつく場合もあるでしょう。
それがその人の救いになることもあるわけです。

儀式がどう、方法論がどうではなく、ご自身を含めて弔いの想いを今一度じっくりと考える時が来ているのかもしれませんね。




—— 今日はありがとうございました。

副住職様:
はい、ありがとうございました。







円受寺 副住職 松本曜一氏

障害者福祉事業、外来専門の医院経営を経て有馬温泉病院の役員を勤める。
その後、真宗大谷派にて僧籍を取得。現在、副住職の傍ら、一般社団法人ビハーラ21福祉事業協会にて理事を勤める。




まとめ:「お墓はいらない」と思ったら、海洋散骨という新しい選択を



この記事では、「お墓はいらない」と考える背景にある様々な理由から、その具体的な選択肢として海洋散骨の魅力、そして実際に副住職様にお聞きした供養の本質についてお伝えしてきました。

お墓はいらないという考えは、決して故人を軽んじるものではなく、むしろ現代社会における様々な制約や価値観の変化の中で、故人と残された家族、双方にとってより良い形を模索する、前向きな選択と言えるのではないでしょうか。

供養で最も大切なのは、故人を敬い、偲び、感謝する心です。
お墓という物理的な「モノ」や「場所」にこだわるのではなく、その「心」をどのように表現し、持ち続けるかが問われています。

海洋散骨は、
・経済的な負担軽減
・管理や維持の手間からの解放
・継承者に負担をかける心配がない
・故人の「自然に還りたい」という想いを叶える
ことができる、魅力的な選択肢の一つです。

もちろん、どのような供養の形を選ぶかは、故人の遺志やご家族の考え方によって異なります。
大切なのは、皆が心から納得できる結論を出すことです。

もしあなたが今、お墓はいらないかもしれないと感じているのなら、あるいはご家族とそうした話し合いをされているのなら、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
まずは信頼できる専門業者に相談し、海洋散骨に関する詳しい情報を集めてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
そして、あなたとあなたの大切な人にとって、心安らぐ供養の形が見つかることを心から願っています。

海洋散骨のコラム

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