海洋散骨は、お墓を持たない供養方法として、近年注目を集めています。
「生前、父親が大好きだった海へ散骨をしてあげたい」「海洋散骨を検討しているけど、費用知りたい」「手続きは面倒ではないの?」このように考えていませんか?
本記事では、海洋散骨の費用・手続きについて解説します。さらに、海洋散骨の注意点や違法性についても説明しています。自分で行うことも可能な海洋散骨ですが、リスクも伴います。安心安全な散骨を行うために、専門業者を選ぶ際のポイントも合わせて紹介します。
厚生労働省、一般社団法人日本海洋散骨協会、国土交通省のガイドラインも参考にし解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 海洋散骨の費用相場と方法
海洋散骨の費用は、結論、散骨方法や業者によって異なります。散骨方法は、「代理散骨」「合同散骨」「貸切散骨」と代表的な3つの方法があります。
以下に、3つの散骨方法・費用の相場、各方法のメリット・デメリットも解説します。
01.代理散骨
代理散骨は、遺骨を専門業者に預け、代理で海に散骨してもらう方法です。
「希望している海が遠くて現地に行けない」「事情があって、遺族が船に乗船できない」といった方が利用しやすい方法です。
・費用相場: 3万円~10万円
・メリット: 故人が希望していた海に散骨できる。費用をおさえられる。
・デメリット: 遺族が実際に散骨に立ち会えない。
02.合同散骨
合同散骨とは、複数のご家族が同じ船に乗船し海に散骨する方法です。
船のチャーター代など、費用を複数の家族で負担するため、費用をおさえて散骨できます。
・費用相場: 5万円~20万円
・メリット: 船のチャーター代など、費用を抑えられる。
・デメリット: 遺骨の散骨場所を指定できない
03.貸切散骨
貸切散骨とは、家族や親しい知人だけで、船を貸し切って散骨する方法です。
心ゆくまでゆっくりとお別れができます。
・費用相場: 15万円~50万円
・メリット: 希望の海を選べる。家族・知人だけで心ゆくまで故人を見送れる。
・デメリット: 代理散骨・合同散骨に比べ費用がかかる。
上記のように、海洋散骨の費用は散骨方法によって変わるため、予算や遺族の状況に合わせて検討することがおすすめです。
一例として、当社のプランは下記からご参考ください。
海洋散骨プランのご紹介
2.海洋散骨の手続き
海洋散骨の手続きを以下に解説します。
海洋散骨の手続き
海洋散骨をおこなう際に、法的な手続きは必要ありません。現状日本には、散骨に対する法律が存在しないため、地方自治体、市区町村の役所などで行政的な手続きは不要です。
墓地、埋葬等に関する法律での規制はなく、法務省の見解も「節度をもって葬送の一つとして行われる限りは問題ない(刑法190条の死体損壊・遺棄罪にも該当しない)」とされています。
海洋散骨の違法性については、こちらの記事で詳しく解説しています。
海洋散骨は違法?海洋散骨に必要な知識を徹底解説
合わせてご参考ください。
また、専門業者に依頼する場合も、面倒な手続きは原則なく、申し込みをして契約が完了すると散骨が可能です。
すでにお墓に埋葬している場合「改葬許可証」「火葬許可証」「埋葬許可証」等、必要なケースがあります。
・改葬許可証:改葬・お墓の引越しの手続きを行う際に必要な許可証。墓じまい後に遺骨をほかの場所に移すときには、改葬許可証が必要になる。
・火葬許可証:市区町村役場で発行される亡くなった人の遺体を火葬する許可証のこと。
・埋葬許可証:火葬が終わって、お墓などに納めることができる証明。紛失した場合、5年以内であれば火葬場・役所で再発行可能。
海洋散骨に対して法律の規制はないものの、節度を持って行うために様々な注意点があります。
次の章で注意点を解説します。
3.海洋散骨の注意点
海洋散骨をおこなう上での注意点は、大きく分けて以下の3つです。
・海洋散骨には「粉骨」が必要
・自治体の条例を守る
・散骨を避ける場所の確認
順に解説します。
・海洋散骨には「粉骨」が必要
海洋散骨を行う際に、そのままの形で散骨はできません。そのままの形で散骨をすると、産業廃棄物の不法投棄など、刑事罰の対象になります。また、刑法190条の死体遺棄罪に抵触する可能性があります。そのため、2mm以下の粉末(パウダー)状に細かく粉砕する必要があります。これを「粉骨」といいます。
・自治体の条例を守る
海洋散骨の検討する際は、必ず自治体の条例を確認しましょう。地域によっては、散骨に関する条例が制定されています。
「散骨に関する条例の一例はこちら」
・北海道長沼町:日本で初めて散骨禁止条例を定めた自治体(墓地以外での散骨は禁止)
・熱海市:熱海の土地から10km以上離れた海域で行い、観光客の多い夏は控えること。パウダー状にした遺骨は飛散しないように、水溶性の入れ物へいれて海へ投下。環境保全の観点から自然に帰らない素材を使用しない。
上記の一例のように、許可されていない地域で勝手に散骨をすると、罰金や罰則が課される場合があります。
・散骨を避ける場所の確認
海洋散骨を行う際に重要となるのが、散骨場所です。法律の規制が無いとはいえ、好きな場所で自由に散骨をしてしまうと、近隣住民や観光客、漁業関係者などとのトラブルに繋がります。節度を持って行うためにも、以下の場所での散骨は避けましょう。
【散骨を避ける場所】
・漁場・養殖場・海水浴場・海上交通の経路などの周辺海域
一般社団法人日本海洋散骨協会では、散骨事業者向けに、陸地から1海里以上離れた海洋上のみで散骨を行うように定められています。また、漁場で散骨をすると漁業権を持った人とのトラブルになる場合があり、海水浴場・海上交通の近くも風評被害として訴えられる可能性があります。このような場所での散骨は避けましょう。
・観光地・観光ルート内
観光地の近く・観光ルート内は、人の目に触れやすい場所です。節度を持って行うためにも他人への配慮は不可欠です。許可を得た場所であっても、観光エリアでの散骨は避ける必要があります。
・川や湖
川や湖は、生活用水などの水源に利用されていたり、一部では漁場にもなっています。風評被害防止の観点からも散骨は避けましょう。
4. 海洋散骨は自分でできる?
海洋散骨は、法の規制がないためルールや節度を持って行えば、自分で散骨することも可能です。
しかし、散骨場所の選定・粉骨作業、船やクルーザーの用意・操縦者の依頼など、自分で散骨を行う上でも作業や手配、費用の負担がかかります。
上記のほかにも、注意すべきポイントがあります。
以下に解説していきます。
海洋散骨時には、服装に気をつける
海洋散骨をする場合、周囲への配慮として、喪服は避け「平服や普段着」が推奨されています。海や観光地には一般客も多くいます。そのような場所で、喪服の人々が大勢いた場合、周囲から見ると不自然さや不安な印象を与えてしまう可能性があります。
また、海洋散骨は船に乗って行うため、安全面や天候・気温も考慮し、動きやすく濡れても問題ない「平服」を選びましょう。
副葬品には注意が必要
海洋散骨の副葬品としては、「自然に還るもの」を選ぶ必要があります。遺骨と一緒に散布する副葬品として、お酒やお花が一般的です。自然に還らないものとしては、ビニール・ガラス・プラスチック・金属などがあります。故人の愛用品であっても、環境や生態系に影響が出るものは散布できないので、副葬品として選ばないようにしましょう。
5.海洋散骨は専門業者に頼むのが安心
海洋散骨は、専門業者に依頼するのが安心です。上記で説明してきた通り、「事前に粉骨する」「自治体の条例を確認」「散骨可能な場所を選ぶ」など、事前の手配や準備、把握しておくべきルールも多いです。海洋散骨は故人の大切な旅立ちの場のため、海の法律、自治体の条例を把握している専門業者に頼むことが安心です。
専門業者に依頼する際のポイントを紹介していきます。
01.散骨証明書を発行してくれる
散骨する場所は、基本的に日本海洋散骨協会のガイドラインでもある通り、沿岸から遠く離れた沖合になります。そのため、大切な遺骨を海に撒いてもその場所を把握することは困難です。
散骨証明書は、散骨を行った日付や、散骨をした海域の緯度・経度、故人の名前が記載されています。散骨業者によって、当日の写真や動画も合わせて送ってくれます。法事などの節目で、親族で集まり同じ場所を訪れることもできます。
02.業界のガイドラインを遵守している
専門業者に依頼する際は、トラブルを避けるためにも、業界のガイドラインを遵守しているか確認をしましょう。主なガイドラインは、以下の3つです。
・厚生労働省の散骨ガイドライン
・一般社団法人日本海洋散骨協会のガイドライン
・国土交通省の海事関係法令の解説
順に解説します。
【厚生労働省の散骨ガイドライン】
厚生労働省は、令和3年3月にホームページにて散骨に関するガイドラインを掲載しました。
内容の一例は以下の通りです。
・法令の遵守‥墓地、埋葬等に関する法律、刑法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、海上運送法。など
・散骨を行う場所‥海岸から一定の距離以上離れた海域。など
・利用者との契約等‥契約の締結、契約の解約に応じること、散骨証明書の作成、交付。など
・安全の確保‥必要な教育訓練を受けた従事者及び補助者の配置、安全装具の確保。など
※引用元:厚生労働省の散骨ガイドライン
【日本海洋散骨協会のガイドライン】
一般社団法人日本海洋散骨協会のガイドラインは、平成26年12月1日から施行し、令和3年8月1日より一部、改定し施行されています。
内容の一例は以下の通りです。
・粉骨の義務‥遺骨を遺骨と分からない程度(1mm~2mm程度)に粉末化しなければいけない。など
・自然環境への配慮‥自然い還らないものは海に撒いてはいけない。など
・参列者の安全確保‥加盟事業者は散骨の際に一人当たり3,000万円以上の船客賠償保険に加入した船舶を用いなければならない。
・一般市民への配慮義務‥散骨の主催者や参列者に対しても、桟橋やマリーナの他の利用者へ配慮するよう要請しなければならない。など
※引用元:一般社団法人日本海洋散骨協会のガイドライン
【国土交通省の海事関係法令の解説】
国土交通省は、令和5年9月20日に「散骨事業者が海上において散骨をする場合において、遵守する必要がある法令のうち、海事関係法令について整理しました」と発表しています。
ガイドライン関係の法令等一覧
・海上運送法‥散骨を行うに当たって、旅客を乗船させる場合は、海上運送法の規制が適用される など
・船員法‥総トン数5トン未満の船舶、港則法に基づく港のみを運航する船舶、政令で定める漁船やレクリエーションの用に供する小型船舶等を除き、船員法を遵守すること。など
・船舶職員及び小型船舶操縦者法‥船長は、旅客に救命胴衣を着用させること。など
・船舶安全法‥船長は船舶検査証書(臨時変更証)及び船舶検査手帳を船内に備えて置くこと。など
※引用元:国土交通省の海事関係法令の解説
大切な故人を見送るために安全・安心に行うために、上記のガイドラインを遵守している業者を選択するようにしましょう。
03.希望の海で散骨ができる
海洋散骨を検討するには、希望の海で散骨ができるかが重要です。
・故人の希望の海に還してあげたい
・思い出の場所で散骨をしたい
・遺族が集まりやすい
上記のような想いがあっても、業者によっては対応していない場合があります。散骨の専門業者のホームページには「散骨エリア」が記載がされているので、事前に確認をしましょう。
当社は全国対応可能です。一例としてご参考ください。
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※常時全国26ヵ所、貸切プランは60ヵ所以上の出港場所に対応しております。
04.信頼をできる実績があるか
海洋散骨の専門業者を選ぶうえで、施工実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。経験や専門知識が豊富な散骨業者の場合、ご家庭の状況に合わせた最適なプランを提案してくれます。他にも、安全面の確保・業界のガイドライン遵守、個人情報の保護も徹底しています。
経験の豊富さから、各家庭の事情や状況に寄り添いながらスムーズな案内をしてくれます。海洋散骨は、故人にとって大切な旅立ちの日です。豊富なプランや、施工実績が豊富な専門業者を選ぶようにしましょう。
6.まとめ
海洋散骨の費用や3つの散骨方法、注意点やガイドラインについても解説してきました。
海洋散骨は、法律の規制がないため自分で行うことが可能です。ただし、自治体の条例やガイドラインを把握していないとトラブルになる可能性があります。
本記事を読み、大切な故人の想いを叶えるために「状況に合わせた費用やプランを聞きたい」「手続きをもう少し分かりやすく知りたい」と思ったら、お気軽にお問い合わせください。
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